現代詩文庫『近藤洋太詩集』

時代にきしむ魂への応答歌
時代にきしむ魂への応答歌
家のほうにむかってせり出したソメイヨシノの法師蝉がひとしきり鳴いた
(まるで今年の鳴きおさめのように)
ツクシオーシ ツクシオーシ ツクシコイシ ツクシコイシイイイ
(「筑紫恋し」)
解説=粟津則雄、佐藤洋二郎、山本哲也、添田馨
本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1009-7
2016年9月刊
家のほうにむかってせり出したソメイヨシノの法師蝉がひとしきり鳴いた
(まるで今年の鳴きおさめのように)
ツクシオーシ ツクシオーシ ツクシコイシ ツクシコイシイイイ
(「筑紫恋し」)
本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1009-7
2016年9月刊
「死んでるのか?」
「それ以上よ」
(「肉体の悪魔」)
本体1500円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1008-0
2016年9月第1刷 2025年2月第2刷
歯に着せた衣は裂いた。歴史よ――
塵埃を巻き上げ、すべてを消し去る風は
まことに我を傷ましめるのか。
(「雨の降り果てたヨーロッパ」)
「何かが事物の流れから引き離され、冷え、気密状態で封印される。それは時代遅れになり、それが別れてきた現在には常に欠けている、まさにその時間を帯びる。閉じ込められていたものをこじ開けると、音は人工遺物に変わる。詩行はカプセルだということがわかる」(「火山と詩」)。情報で氾濫し、忘却を加速させる現代生活において、詩作こそが、もっとも人間的な抵抗となりうるだろう――。ドイツ現代詩の旗手による、「記憶の詩学」のエッセンス。
本体2,200円+税
四六判上製・150頁
ISBN978-4-7837-2631-9
2016年8月刊
感謝すべきこと、この地上には
まだいくらでもあって
乾かないのはおまえの流した血の跡だけじゃない。
(「六月の王様」)
「書くこと。人から受けとるもの、人から奪うものをベースにして、人と自分のあいだになにか生みだす。そうなってほしいとますます思っている」(あとがき)。2011年の震災以後に書かれた短詩群を集成。『青い家』『あと少しだけ』以降の確かな歩行をあらわす38篇。装幀=清岡秀哉
本体2,000円+税
四六判並製・112頁
ISBN978-4-7837-3528-1
2016年8月刊
いつからかどこからか吹いてくる風に
水が混じっている 水が作る
あっ それは 水でできたりぼん
(「風水」)
本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1006-6
2016年8月刊
闇が瞬いている。
闇の中で光が、ではない、
闇の目が瞬いて、見ている、
その視線の中を、進む。
(「石の花」)
前詩集『有性無生殖』から十余年、発語の原初に立ち返った詩人は、あえて詩語をそぎ落とし、新たな表現の地平に立つ。
本体2,400円+税
A5判変型並製・154頁
ISBN978-4-7837-3535-9
2016年8月刊
空から
うわの空へ
肉塊や果実を投げて
ようやく七曜を繫げてきた
(「樫の火」)
巡り、変わってゆく景色のなかで、わたしとあなたの境界はゆらめき、消えかかる。あらゆる生に燻る失うことの痛みを、火は燃やし空へくゆらせ、澄んだ青へ繫げゆく。
本体2,400円+税
A5判並製・108頁
ISBN978-4-7837-3530-4
2016年7月刊
こんなにも明るい黄色の絨毯を吹く風は
過去と未来を吹き渡る青い風
(「ひまわりの花」)
地に生き、巡り、また生まれる。幾つもの夜と昼のかなたへ――田園に吹く風が届けた、かすかに幸福がゆれる白い手紙。
本体2,400円+税
A5判並製・110頁
ISBN978-4-7837-3531-1
2016年7月刊
川べりに
毀された真珠が息をひそめ
かすかなところにすまいしているものらが
水を曲げている
名まえを呼ぶと
おどろいたように水はふりむく
(「Barroco」)
心と身体の感知するところを、言葉に導かれるようにして。『繭の家』から5年、独自の書記をつきつめた待望の新詩集。2刷出来!写真=Andrea Bielefeld、装幀=伊勢功治
本体2,400円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3527-4
2016年7月刊