詩の本の思潮社

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岩成達也『森へ』


「私」を求めて


この歳月 私は みた 知った そして書いた
傍らを過ぎて行くすべてのものを
その事態を その事態の奥にある闇の深さを
(「夢の岬」)

「あれはいったい何だったのか 例えば あれは主の自己無化(ケノーシス) それとも それが私にひき起こすそれへの応答 いずれにしても そのような渦巻く想いの翳が あの日 私に臨み おそらくは いまなおそこに留まっているとするなら……」(「浮島――プロローグ」)。詩という営為は、世界あるいは「私」の根幹に対峙する。岩成詩学の到達点を示す畢生の力作。装幀=清岡秀哉

本体3,800円+税
A5判上製・296頁
ISBN978-4-7837-3497-0
2016年4月刊

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来住野恵子『ようこそ』


第32回詩歌文学館賞受賞!


   それどころかきみはここ、あらゆるここにいて
  無の吹きだまりから燦然とほとばしる
光の声をくわえていっしんに走る
走ってくる
(「うつくしいものがいた」)

「贈与の見返りを求めない、そのものへのただひたすらな愛、いわば、純粋贈与としての愛」(吉田文憲)。「《真理》の本質提示が見事になされるがゆえに、作品は燦然たる《美》を放射し、われわれを魅了する」(神谷光信)。世界の受苦と無垢により添い、言葉の光をおくる。11年ぶりの第4詩集。カバー作品=北川健次

本体2400円+税
A5判上製・118頁
ISBN978-4-7837-3517-5
2016年4月刊

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伊藤悠子『まだ空はじゅうぶん明るいのに』


第34回現代詩花椿賞受賞!


問いを抱えながら
カーテンを開けると
枝のあいだに
星がひとつまたたいて目が合った
(「返信」)

すぐに言葉にならない思いと時間をくぐりぬけて辿り着いたこの場所。比類なき静謐の抒情。5年ぶりの新詩集。装画=伊藤武夫、装幀=稲川方人

本体2200円+税
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3516-8
2016年4月刊

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伊藤悠子『風もかなひぬ』


ひたむきな時間、家族の物語


もう希望をかなえるのを許されてもよいのではないか。イタリアのアッシジという町の名を心に留めてから二十年も経っていた。
(「ほとりにたたずむ」)

人、モノ、風景、生、死。存在の最深部へ注がれた慈しみの集積。パヴェーゼの目を閉じる子に導かれて……はじめてのエッセイ集。装画=伊藤武夫、装幀=稲川方人

本体2200円+税
四六判上製・130頁
ISBN978-4-7837-3900-5
2016年4月刊

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関中子『三月の扉』


この人は生きる


死か生か 振り向く花びら つぼみのころのその扉が連打される かすかな音で なお深きところはないか 三月よ
(「彼方からも」)

「大都会の夜にあらわれたえんえん/放射能のふる夜/処方箋もなく」(「大都会の夜」)。三月の底でひろったことばのがれきで、記憶の扉をたたく。自然と人為の脅威を、美の衝撃を、未来に吹く一陣の風に乗せて――東日本大震災から5年、対話を重ね続けた新詩集。

本体2200円+税
A5判並製・86頁
ISBN978-4-7837-3519-9
2016年3月刊

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