詩の本の思潮社

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神山睦美『希望のエートス――3・11以後』

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精神の底板を固める


原子力もコンピューター・ネットワークも先端医療も過熱するマネー・ゲームも、わずかな匙の加減で、どのような破局をももたらしうる。そのとき、いったい文学に何ができるのか。私たちの言葉は、未来からやってくる者たちのそれとどうしたら連帯できるのか。
(「はじめに」)

想像を絶する災厄を前にして、あなたは、どのように生きるのか。文学が問い、応えようとしてきた営為の核心部を照らすことで、3・11の現実と正面から対峙する。鮎川信夫賞受賞以後、渾身の思いをこめて書き継がれた文芸評論の達成。装幀=中島浩

本体3,800円+税
四六判上製・448頁
ISBN978-4-7837-1687-7
2013年8月刊

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三田洋『仮面のうしろ』

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ことばと抒情の秘境へ


あんよはじょうず
その仮面のうしろ だあれ?
(「仮面のうしろ」)

幼い日に突如見せられた世界の深淵から、詩人のプロローグは始まる――。異なる時空、別の自己たちが存在する無数の世界にさまよい、東日本大震災後の現在に立ちつくす。サイエンスも時空も超えて発する、存在の根源を問う言語。

本体2,200円+税
A5判並製・94頁
ISBN978-4-7837-3374-4
2013年8月刊

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田中健太郎『犬釘』

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現実を踏みしめて


誰も顧みない線路は
長い時を経て
獣道に変わるのか
地中に規則正しく埋められた犬たちが
ある日一斉に吼え始めたと言う
(「犬釘」)

いまを生きる苦しみ哀しみに正面から向き合いたい――。生活者としての実直な希求を、自らの実存を基点に衒いなく昇華する。詩のことばに託された、人間の思い、31篇。

本体2,400円+税
A5判並製・112頁
ISBN978-4-7837-3373-7
2013年8月刊

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文月悠光『屋根よりも深々と』

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私の涙腺は機関銃となる


この世界をすくっては飲み干し
わたしの内に陸地を
ひろやかな海を建設しよう
(「Alternative」)

「詩は紙の上に在るのではなく、日常の中で心に芽生えるもの、目撃してしまう一つの現象だと思う。詩が好きだからこそ、変わっていくことを恐れずにいたい」(あとがき)。――あらためて言葉に出会いなおし、詩的身体を跳躍させる! 待望の第2詩集。重版出来!

本体2,000円+税
四六判並製・114頁
ISBN978-4-7837-3365-2
2013年8月第1刷 2019年11月第2刷

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斎藤庸一『シルクロード幻想』

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死者たちに導かれて


私を包みこんでいるシルクロードの広い空の涯ての雲に感謝し
遥かな彼方に際限なく広がるタクラマカン砂漠の神々に合掌し
立ちあがって私の生命を振り返ったときふと涙がにじんでいた
(「楼蘭の涯てに」)

「砂に埋もれた死者たちを〈幻想〉し、幻視し、その怨念に出会う旅」(若松丈太郎)。関東大震災、満州事変、太平洋戦争……と激動の時代を生き抜き、東京大空襲時には、屍体整理の作業に従事した詩人の心を、死者たちの幻は、いつまでもつかんで話さなかった。シルクロードに出会い、導かれて、生命への感謝と喜びの境地にたどり着くまでの長い道のり。

本体2,600円+税
A5判上製・130頁
ISBN978-4-7837-3367-6
2013年8月刊

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野口武久『野の道』

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宙を舞うこころ


さりげなく透明な水のように
ささやかな庭に舞い込んだ
秋の蝶のように
複雑な世を超えた
単純なあなたがいる
(「秋」)

少年のこころにきざまれた夜の火の海、敗戦の夏から六十余年の歩み。溢れる生と死の翳り、過ぎた季節と訪れるものをいま彼方から見つめる。生前構想の第二詩集の詩稿に未収録詩篇を加えて編んだ、詩人の道のりを照らす遺稿詩集。

本体3,600円+税
A5判上製・192頁
ISBN978-4-7837-3356-0
2013年8月刊

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建畠晢 『死語のレッスン』

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第21回萩原朔太郎賞受賞!


老嬢はすでに死語だ
老嬢が生まれたのは前世紀の初め
まだそのころは、裏通りを石女がさまよっていた
(「老嬢満載のトラック、横転す」)

「だが、そうであるがゆえに死語には他のいかなる言葉にも期待できない夢がひそかに宿っているはずなのだ」。反=物語の彼方に魂のよるべなさが明滅する。未生の領野を眼差す詩22篇。高見順賞受賞から9年を懸けて編まれた新詩集。装幀=清岡秀哉

本体2,200円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3358-4
2013年7月刊 品切



 

水島英己『小さなものの眠り』

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この場所から


忘れた世界、見捨てられた世界で息づく小さなものたち
何かが起こり、何かが生み出される
きみは待っている、そういうときこそ
人生はいつも豊かで確かなのだ
(「坂」)

「場所の場所性ということを第一にし、そこに君の主体や問題などをありのままに置いてみること、そこから出発したらどうか」(「ノート3」)。生がふるえ、つながる魂の位置を探り、詩人の歩行はやまない。島尾敏雄、新井豊美、カヴァフィス、……はるかな思いを運んで、また歩きはじめる、この場所から――。装画・装幀=野崎秀登

本体2,200円+税
A5判上製・120頁
ISBN978-4-7837-3366-9
2013年7月刊

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