詩の本の思潮社

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新刊情報

和合亮一『廃炉詩篇』

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馥郁タル死ヨ 私の死よ


海原に
あなただけの
帆をかかげよ
朝はどこか
朝はここだ
あなたの胸の奥だ
しるしの火だ
(「馥郁たる火を」)

修羅のごとく詩を書きたいのだ――震災後に一度は言葉を失った詩人が、礫の先にある光を目指して、いまこの世界を這い上がろうとする。自らと、そして世界に突きつける言葉の刃。希望はあるのか、絶望しかないのか。詩の言葉の絶対を疑いながら、素手で掴みとった真実の詩。「現代詩手帖」好評連載詩に加え、震災前に書かれた予言的作品ほかを収録する。表紙写真=吉増剛造、装幀=中島浩

*既刊の『廃炉詩篇[single]』は本書のなかから一章分(「廃炉詩篇」連作部分、80頁分)のみをアマゾンのオンデマンド出版で刊行しているものです。本書には、[single]版に収録の「廃炉詩篇」連作に加えて、震災前に書かれた6篇、和合氏が震災後福島第一原発の20キロ圏内にはじめて入ったときに書かれた長篇詩「震災ノート」、合唱曲でも知られている「誰もいない福島」が収録され、全154頁の詩集として構成されています。

本体2,000円+税
菊判変型上製・154頁
ISBN978-4-7837-3360-7
2013年6月刊

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秋山基夫『引用詩論』

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理論的追求


本書は、〈引用〉を人間存在の原理と考え、諸芸術にそれがどのようにはたらいているかを見つつ、さらにすすんで芸術の、なかんずく詩の方法としての〈引用〉についていくらか考えをすすめようとした。
(あとがき)

新しさと独創性を価値基準としてきた近代以降の芸術。果たしてその基準に問題はないのか。漱石、子規、デュシャン、源氏物語、風神雷神図、そして自作まで、諸作品をフィールドに〈引用〉の層を剥がし、詩作を根元から見つめなおす。好著『詩行論』につづく本格詩論。装幀=則武弥

本体2,600円+税
四六判並製・258頁
ISBN978-4-7837-1686-0
2013年6月刊

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篠沢秀夫『千川ヴィーナス』

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日常叙事詩集


どこで死のうと 古武士の身に白し こぶしの落花
梢よりまた一片 落花 落下 わが胸に
屋根の向こう 夕陽に白く なお生きるわが家の桜花
(「こぶし落花」)

早春のある日、自転車での散歩途上でふと目にした美しい女神像に魅せられて書き上げた巻頭詩「千川ヴィーナス」をはじめ、日本とフランス各地での漂泊のつれづれに書かれた25篇。難病ALSと闘いながらも「古代の心」でなお前進。病床で執筆活動を続け、傘寿を迎えた「篠沢教授」の第2詩集。著者自身による豊富なカラー写真入り。

本体2,000円+税
四六判上製・114頁
ISBN978-4-7837-3350-1
2013年6月刊

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野木京子『明るい日』

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地と宙と、声なき者たち


貝がらはきっと割れているだろう
ひかりの色をした貝がらも
それでも声を出している
(「明るい日」)

「宇宙を構成する塵のようなものが地上だけではなく、天上世界をも、地下世界をも渦状粒子のように激しく動き回っている。そこに、いなくなったもの、ここに不在のものの呼吸が、詩の呼吸として呼び出され、なまなましく息づいている。野木京子はいま新しい鎮魂歌を書き始めた」(吉田文憲)。遠く、海の轟きを聴きながら、名もない死者たちの、天上と地上のかすかな声を響かせる。装幀=稲川方人、題字=宇田川新聞

本体2,200円+税
A5判上製・100頁
ISBN978-4-7837-3355-3
2013年6月刊

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