永島卓『水に囲まれたまちへの反歌』

もう一人のわたしに
もう一人のわたしに
樹葉から落ちる透明な雫を掌に包み
寂しさで震える川の物語を
遠い昔のように知っておりました
わたしの水の筋肉をあなたに買ってください
あなたの空の野菜をわたしに売ってください
(「きょうはきのうのあしたです」)
「長年碧南市長を篤実に務めた永島卓氏の中に、絢爛たる言葉で魚になり、鳥になり、草になり、水になる超現実的な変身の詩を作る詩人が隠れていたのである。私は、市長の作品とは思えない不思議な光を放つすぐれた詩集『水に囲まれたまちへの反歌』を推奨したい」(梅原猛)。『碧南偏執的複合的私言』から45年、なおも固執してやまないモティーフを接着と離反のせめぎ合いのなかで昇華する。装画=杉浦イッコウ
本体3,200円+税
B5判変型上製・106頁
ISBN978-4-7837-3232-7
2011年4月刊