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桑原茂夫『御田八幡絵巻』

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少年が見た!


焼かれなかった子どもたちと
焼かれてしまった子どもたちが
同じ学校に通っていた
学校はいつもにぎやかだったのである
(「(第二場)序の唄」)

「泣くな桑原! よみがえる一九五〇年代の記憶。桑原茂夫は思春期の感性で時代をかるがると撃ち抜いている。いまを突っ走っている。吠える詩人の魂を見よ!」(嵐山光三郎)。爆音とともに夜空から際限なくばらまかれた焼夷弾に焼き亡ぼされ、ずたずたにされた町を、それでもよみがえらせようとする人びとの思いが熱く交わり、つかの間であれ豊かな時をつくりだした。その渦中にいた少年が、見たもの、感じたことを、ひとつひとつ丹念にひろい出し描き出した、ひと巻きの絵巻が『御田八幡絵巻』だ――この絵巻からは、その後「高度成長」であらためて根こそぎ亡ぼされ、今では「幻」となってしまった、豊かな町のざわめきが聞こえ、いきいきと活動する人びとの表情が見える。まるで、夢の未来社会なのである! カバー画=合田佐和子、装幀=間村俊一

本体2,600円+税
A5判変型並製・224頁
ISBN978-4-7837-3309-6
2012年8月刊

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