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ヨハネス・キューン/飯吉光夫訳『僕、片隅の客』

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現代の牧歌


僕、片隅の客、
みんなに遠ざけられ、
波のようにひたいを洗っていく
周囲の笑いだけを受け容れている、
ほうら、僕がいま差し出す五百円貨には汗がにじんでいる。
(「居酒屋で」)

「こののどかな調子は一見して時代錯誤的である。しかし、この牧歌は現代詩に欠けている情趣を補うという意味で優れている。現代の何よりも精神の治癒を求めている人びとには一服の清涼剤の役をはたす。しかもこの穏和な調子の奥にはいつも周囲から隔てられている人間の心の傷つきがあり、その傷の深さが詩にこれまで忘れられていた新味を与えている。自分の欠点を美点に変えている例がここにもある」(飯吉光夫)。素朴、甘美、繊細――心の安らぎを求めやまない、現代ドイツ詩人の野趣あふれる75篇。

本体2,400円+税
四六判並製・208頁
ISBN978-4-7837-2898-6
2012年3月刊

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