かれらは還り かれらは往く
水の穴は悪食の口腔のようにかれらをのみこんだ
人はそれを死というのか
死者とともに墜ちてゆく水も死ぬのであろうか
父は時間の罠には はまるまいと
必死に身を引き締めて凝視しつづけたという
(「水の穴」)
詩の胎内からあふれだした水は、時空を超えて、古今東西の漂泊の詩人たち、画家たちの死に様を壮絶に映しだし、譚詩という穴に呑み込んでいく。譚詩集シリーズ、渾身の第三弾!
本体3,200円+税
菊判上製・160頁
ISBN978-4-7837-3282-2
2011年12月刊
