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河邉由紀恵『桃の湯』

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第12回中四国詩人賞受賞!


桃の湯は
しずかに忘れさせてくれるところなのよ
外套の買えない詩人はどこかへ行き
赤道に現われる人魚はしずんでゆく
ざあざあざあ (「ながあめ」)


「「桃の湯」の羊水のようにぬるい湯に浸かり、すべてを忘れ去り、すべてを思い出す。束の間あらわれ、消えていく人間を描いたこの詩集を読むと、自然や神仏の御わざの深さに陶然となる」(井坂洋子)。「現代詩手帖」投稿欄をへて、このたびいよいよ第一詩集を刊行。
写真=大河内信雄

【著者の言葉】
桃の湯の表には誓願寺という観音寺があり裏にはドノヴァン7というホテルがある。 桃の湯はその間にある、ねっとりと空気がしずかな場所だ。 おばあさんはここに来るといつもあまいようないたいようなへんな気持ちになる。 おじいさんもあまいようなゆるんだようなへんな気持ちになる。 桃の湯の周りにはらくだ公園やかるでや文庫や水月ホテルやあざみ食堂がある。 あの世とこの世のあわいのようなエリアで少女や男や老人たちがつむぐ秘密めいた おこないの数々。

本体2,400円+税
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3244-0
2011年5月刊

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