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関中子『愛する町』

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ひとつの歌を


わたしは
あなたとあるきながら結ばない想いをおく
「町に生きる」


雨に白む町。空へ、空へと永遠を夢見る町。自然からの警告に揺れながら、愛はひかりを投げかける。装画=著者


【著者の言葉】
詩集『愛する町』を編みつつ、町を愛せたらいいな、愛する姿が浮かんでくるといいなと思った。そう思うまでにだいぶ時間がかかった。
ところで、人は、町が大きくなることをめざすのではなく、その町がどんな大切な物をはぐくんでくれるかのために移動し、世代を引き継ぎ、町を営んでいきたいのだと思う。
「農業都市」を夢見た人々にはあきらめもあるが、町を営む喜びもある。その人々は老いてすでに多くが去った。その「緑」にかけた思いの大きさに比べて、つたない言葉は残ることも少ない。けれど、思いが深ければ忘れられない町になるだろう。
今、やっと「愛する町」という言葉を使えるようになった。そこへこの大震災津波・原発。わたしたちが原発の電力にどんなに依存し、それに気がつかないふりでいたかを思い知らされた。また、安全性を信じたいあまりに危機を想定すべき努力にふたをしたことも。おかげで、町を生きたまま失うかもしれない。
東北ばかりでなく首都にも他の町や村にもそれからそれへと「愛する町」のよみがえりを願う。そして、わたしの「愛する町」もその姿をいっそう明らかにできることを。


本体2,200円+税
A5判並製・96頁
ISBN978-4-7837-3241-9
2011年6月刊

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