非現実という現実へ
この瞬間、少年の素面はおびただしい砂粒となって、彼の部屋に果てしない砂丘を広げる。そこには、詩に取りつかれた老人がうずくまっていた。
(「心象」)
「現実の否応なしの拘束のもとで非現実という現実を創り出すことに魅了されながら、それを可能にする言葉表現を紡ぎ出そうとして祈るように辿った遍歴の道のりが自分自身の詩作だったと今感じています」(あとがき)。
ものを書く手と書かれたものとが、ゆるやかに解けていく幻惑の光景。劇的なるものから詩が生まれる。祈るように紡がれた、散文詩19篇。
2420円(税込)
A5判変型上製・90頁
ISBN978-4-7837-4568-6
2024年5月刊
