詩の本の思潮社

ホーム新刊情報 > 八潮れん『ウーサ』
新刊情報

八潮れん『ウーサ』

null


うるさい身体


とうてい行きつけない堕落と
わたくし正常な欲望のあいだに見る
似たもの同士の胎児排出力
(「バロン・ド・エス」)


「元気な、とは、もちろん言葉がいきいきしていて躍動的であり、あるいは遊動的であり、いつでも他の言葉とくっつきそうな、いうなればエロスの態勢にあるということで、(…)言葉のエロスとエロス的身体とがじつに分かちがたく働き合って、ひとつの「ウーサ」、「在る」を生み成している」(野村喜和夫・栞)。言葉で解放するエロス。待望の第2詩集。装画=神彌佐子


著者の言葉
一六歳。はるか昔であり、「今この時」でもある。粟津則雄氏訳のランボウがなぜカトリックの女子高に通う長野の少女にそれほどショックを与えたのか、今でもわからないし、詩の出発点、経歴もこの瞬間に作られるという感覚だから、それを対象化するのにいつも苦労する。今自分が詩でやりたいことを考えると、私はつくづく自分の官能性を抑圧してきたのだと思う。いくぞ、いったるぞ、もう我慢なんかしない、と言うのですね、誰かが。私たちは快楽原則だけでは生きられないから、そうしたくなくても「我」に返らないではいられない。しかし社会的な自我は私のほしい快楽からなんと遠ざかってしまうことか。詩誌「スーハ!」同人、やっと第二詩集。これからは朗読などもやっていきたいと思っている。エロスを立ち上げるのにいとまがない、これがきょうびの詩の私といえます。


本体2,000円+税
A5判変型並製・88頁
ISBN978-4-7837-3204-4
2010年8月刊

本のご購入はこちらから