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新刊情報

『帷子耀習作集成』


「こんなものは詩ではない。」
「ジョートー、です。」


カンシャク玉ごっこの後のうそ寒い焼跡へ見知らぬ生贄の道行の果てしなさはもう焼跡へもうもうともろく飛び散り死水〔シャボン〕とびおお思いつめての知恵の輪いじりに似る不協和音あれ言葉言葉言葉よそして(ふんアカシヤの雨に打たれた所であたしゃ言葉さん〔あんた〕にパロールってルビを振る趣味は毛唐ほどもないのさ)後ずされるのか忘れもののように長あく揺らぎとろける水柱の尾っぽの水のみきって
(「ふる卵のへりで遊べない朝までは」)

「革命が叫ばれたあの時代、帷子耀という詩人は知識による権威に唾を吐きつつも、乱用される言説の照射を一身に受けた。それらを全身で感光し、ネガからポジへ、言葉を現像する。狂れたように疾走する指先は、言語からこぼれ落ちる言葉の、言語による救済を試みていたと思えてならない」(藤原安紀子)
13歳、きみは誰をわらっていた。14歳、きみは何をわらう。ここに収められているのは、13歳から19歳までを詩の不良として生きた者が世界に宛てたメサージュである。その者の名は帷子耀。カタビラ・アキと読む。詩人とともに幻のごとく散逸、多くは読むことも困難となっていた詩と文を集成。すべては1968年からはじまった。読んでわらうか、きみは。
伝説的詩人の全貌。装本=井原靖章

本体4000円+税
A5判変型上製・464頁
ISBN978-4-7837-2384-4
2018年10月刊 品切