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『北川透 現代詩論集成3――六〇年代詩論 危機と転生』 


ことばが語る時代、その展開


「「強いられる」と「奪回する」が自然に折り合いをつけるのを拒むように、どこまでも「遡行する」のパラフレーズを少しずつずらしながら、「未知への不安」にむかって複数化する〈わたし〉を生みだしている。……変化する時代の局面への関心を失わずに仕事をしてきたことでも抜きんでている北川透の、その詩と詩論のどちらにとっても要となるものをあらたに見せられた気がする」(福間健二・月報より)
「ここまで論理を追い詰めても、何ら六〇年代に開放感をもたらす詩的現実の常態が見つからないのだとしたら、詩の転生の可能性はどこにあるのか。少なくとも、遅れの意識にある著者自身においては、心情的ラジカリズムの表現形式を避けながら、河の源流にさかのぼってゆくそれ自体、いわば宿命(それ自体を生きること)の形式に自らを捧げるほかないのではないだろうか」(岸田将幸・月報より)

50年代から60年代にかけて、戦後的な社会の枠組み、党派的な文化への拠り所が失われ、言語そのものに依拠する〈ことばが語る時代〉が始まる。前時代からの継続を暴力的に切断した「凶区」などの言語の断層、急勾配、崩落の現場に、詩の危機と転生を読みとる巻頭論考のほか、飯島耕一、大岡信、入沢康夫ら、戦後詩から離陸する詩人たちと、鈴木志郎康、天沢退二郎、吉増剛造、佐々木幹郎ら、六〇年代とそれ以降の詩を担った詩人たちについての論が激しく踵を接する。月報=福間健二、岸田将幸、渡辺武信、天沢退二郎。装幀=間村俊一

本体5000円+税
四六判上製・562頁
ISBN978-4-7837-2373-8
2018年2月刊

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