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現代詩文庫『齋藤恵美子詩集』


知りえなかった何かに


跡が消された跡、のような、道筋をたどり終え
箱より軽い部屋の闇へ
みずからを消し、風を通した
部屋と世界が、触れあえぬまま重なるときの、余剰部分
そこで、外皮から朽ちるとして、最後に
わたくしに、何がひかるか
(「孤影」)


「わたしの原初の光景が、もはや跡地としてしか存在していないとすれば、わたしの言葉は、わたしの魂を奪ったあの光は、何によって根拠づけられるのか。鉱床に混ざり込んだ〈脈石〉という言葉が意味をもってくる。『空閑風景』は、海と土の間で残響しか聴こえてこない、堂々たるボレロである」(四方田犬彦)。亡き者たちとの邂逅を願いつつ、言葉でおのれを擲つこと。極点を照らし出す詩的エクリチュールの達成、『空閑風景』までの軌跡を一望する。
解説=清岡卓行、横木徳久、野村喜和夫、杉本真維子

本体1300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1013-4
2017年9月刊

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