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金田久璋『鬼神村流伝』


小さな抒情的叙事詩


埋(い)くれば 山崩(くえ)の引く
川に流せば 何かにつかまって 一節なと残ろ
焼いたっちゃ ほかほかと尻が火照(ほて)ってよかとよ

地べたに蹲(つくば)って
ぶつくさ一人愚痴る
草取りの農婦のモノローグから
やがて目ざめ 繁り出す露草のダイアローグ
(「物言う草」)

「金田さんの自己創造というべき肉声が、柔かい息遣いで、フォークロアの世界を通奏低音のように低く響かせることで、独自な意志(常民的生涯者にたいする共感)をもった抒情的叙事詩として成立させる」(倉橋健一)。風土の記憶に定住者の生死を交差させ、田の泥土から現代の違和を穿つ第4詩集。装画=西田理菜

本体2600円+税
A5判上製・142頁
ISBN978-4-7837-3560-1
2017年4月刊

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