田中宏輔『図書館の掟。』
異才が放つ渾身の新詩集!
異才が放つ渾身の新詩集!
濡れた手で触れてはいけない。
かわいた唇で愛撫するのはよい。
かわいた唇で接吻するのはよい。
しかし
けっして歯を立ててはいけない。
嚙んではいけない。
乾いた指が奥所をまさぐり
これをいたぶるのはよしとする。
死者たちは繊細なので
死者たちの悪口を言ってはいけない。
死者たちはつねに耳をそばだてている。
死者と生者とのあいだの接触は
一度にひとりずつが決まりである。
(「図書館の掟。」)
類のない詩的世界をあらしめる、言葉そのものへの徹底した感受と方法。圧巻の長篇詩「図書館の掟。」「The Marks of Cain。」をはじめとする、350頁を超える大冊。装幀=中島浩
本体2800円+税
オンデマンド版(ペーパーバック)・354頁
ISBN978-4-7837-3555-7
2017年2月刊