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齋藤貢『汝は、塵なれば』

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目をそらさずに


向こう岸に渡りながら、わたしたちは、向こう岸に、指一本も触れることができない。もしかすると、このまま、本当に向こう岸には、永遠に、たどり着けないのではないか。伏し目がちにじっと息をひそめて、その傍らを通り過ぎていく。ただそれだけしかできないのではないか。
(「警戒区域、小高へ」)

「現在への問いかけと現在をこえたものへの問いかけが、人間への問いかけと人間をこえたものへの問いかけが、濃密でのびやかな劇を作りあげていると言っていい」(粟津則雄)。地震、津波、被曝の三重苦に見舞われた土地のかなしみを背負う、19篇。装画=粟津杜子

本体2,500円+税
A5判上製・105頁
ISBN978-4-7837-3375-1
2013年10月刊 品切