詩の本の思潮社

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新刊情報

竹内英典『伝記』

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いつか ここに


ことばは深く流れ
水底に積まれた石の目が
掬おうとするひとを凝視する
(「窓 ひとつもの」)


「「挫滅につながれた伝記」という藤井貞和さんのことばに出会ったのはもう五十年も以前のことである。その時の衝撃は忘れることなく胸の内にありつづけた。さらに、その三十余年後、倉橋健一さんの「ひとりの若者は遠ざかり」から「敏捷果敢な一頭の草食有蹄獣を/来る日も来る日も/思い続けたのだった」という行に会った時の、思わず座りなおした時間を忘れることは出来ない」(あとがき)。
砕かれたことば、剝ぎとられた物語。もういちど生まれたいと瞬くものへ。長い歳月のなかで問い続けてきた二つの詩句を契機として、人間の「歴史」のありように畏れをもって向きあう、詩24篇。

2640円(税込)
A5判上製・128頁
ISBN978-4-7837-4524-2
2023年10月刊

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渡辺玄英『しろいうさぎを狩る者たち』

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空は一点で潰れる


蒸発することを禁じられたわたしわたしたちの
絶え間なく半減する(ふるえる
分岐した朝から 消えていく青い星を見送る
(「昨日まで地球の夢を見ていた(水の粒子」)


夜になると鳥は何処で死ぬのか――。滅びの粒子が降りつもり、わたしたちの時間は巻き戻されてゆく。地球の夢を見る、最新18篇!装幀=中島浩

2640円(税込)
A5判並製・112頁
ISBN978-4-7837-4548-8
2023年10月刊

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服部誕『祭りの夜に六地蔵』

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とおく呼び交わす声々


めずらしく混んでいた
昼下がりの箕面線
あいていた隅の優先席に腰を下ろすと
向かいにひっそりと
双体の道祖神が座っていた
(「昼下がりの幸福について」)


いつもの電車が、街角が、不意に見慣れぬ場所に変わるとき――。非日常の空隙を、ポエジーの瞬間をとらえた21篇。装幀=中島浩

2750円(税込)
A5判上製・118頁
ISBN978-4-7837-4547-1
2023年10月刊

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こたきこなみ『ひとがた彷徨』

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新生、そして未生


胎冥のなか奪われ与え奪い与えられ
我知らず横滑りに包まれる愛
あやうく横流しにくる死
(「胎冥/新生」)


人は時の容器。茫漠として地表を覆う人の、現存も非在もつかの間の宿りか――。命の根源とその涯を、宇宙的スケールで捉えた新詩集。

2640円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-4545-7
2023年9月刊

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