詩の本の思潮社

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菊地利奈+キャロル・ヘイズ訳『対訳 左川ちか選詩集 Selected Translations of Sagawa Chika's Poems』

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対訳詩集


揺籃はごんごん音を立ててゐる 真白いしぶきがまひあがり 霧のやうに向ふへ引いてゆく

the cradle crashes and crashes again pure white sea spray dances high disappearing into the distance like mist
(「海の捨子 ABANDONED CHILD OF THE SEA」)


戦中・戦後の女性詩人の研究を専門とする研究者であり、バイリンガルの菊地利奈と、オーストラリアの日本文学者であり、翻訳者、故・キャロル・ヘイズの共訳による左川ちかの翻訳プロジェクト。1930年代に女性として、アジア、なかでも北海道というポストコロニアル的周縁を生き、いまなお鮮烈な印象を残す詩人の世界的再評価。
翻訳をみずからの「詩法」とした左川ちかへの時空を超えた応答。ヴァリアント「死の髯」「幻の家」、「海の天使」「海の捨子」、散文「魚の眼であつたならば」を含む、厳選24篇。
推薦文=水田宗子、エリス俊子、松尾真由美
写真=花代、ブックデザイン=佐野裕哉

1980円(税込)
四六判並製・96頁
ISBN978-4-7837-4518-1
2023年3月刊

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松下たえ子『そそら そらそら わたしのダンス』

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人の子はみな踊る


生きるんだ 生きるんだ
生きることは踊ること 生きることは歌うこと
短い脚でも踊れる 瘦せていても踊れる
(「ダンサー」)


花も嵐もある人生、病を越えて摑んだ生の力(セレンディピティ)。あなたと踊る、ドイツ文学者の長旅練習帳、第1詩集。

2420円(税込)
A5判並製・96頁
ISBN978-4-7837-4519-8
2023年3月刊

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定道明『木橋の穴』

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小土を掛けるように


雁木を穴熊が通る。穴熊は傍若無人であるから、せわしなくごそごそとやって来る。いくら何でも音で分かる。蝮はただちに塒を巻く。これは、後退、防禦のためではない。塒を解く時のバネというか、反動を利用して一気に敵に挑みかかるための構えである。そのために、塒はより固く、堆く積み上げられた。体鱗の幽かに擦れる音がしている。
(「蝮」)


「前著『中野重治近景』で、みずからの筆致を、「じゃが芋に小土を掛けるように」と語った著者の、そのまま北陸の田舎の地にあって、移りゆく世相を土と共に奏でた異色の散文詩集。葉篇小説集といってもよいが、フォークロアの視点をも存分ににじませて、まことペーソス溢れるユニークな世界を構築した。失われつつある大切なものに、どこか触れている気分に誘われる、とても小粋な一冊だ」(倉橋健一)。
中野重治研究で知られる著者が絶妙の筆致で昇華する、生の風景、21篇。装幀=髙林昭太

2640円(税込)
A5判変型上製・98頁
ISBN978-4-7837-4516-7
2023年3月刊

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四元康祐『ダンテ、李白に会う――四元康祐翻訳集古典詩篇』

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言葉の素顔を掘り起こしてやろう


たとえ何世紀も前に地球の裏側で書かれた作品であっても、そこに〈詩〉を感じるならば、自分の心身を楽器のように差し出して、今ここにどんな共鳴音を響かせるのか試してみたい。
(「第一章 私の生は拡がる波紋」)


リルケ、ディキンソン、ダンテ、そして杜甫、李白……言語の壁を超えて、詩探しの旅がはじまる。古今東西の詩人たちの深層を手さぐりし、そのポエジーを大胆な〈語り直し〉で現在ただ今の日本語に響かせる、縦横無尽の翻訳集。好評重版!装幀=奥定泰之

本書に収められている詩人――ライナー・マリア・リルケ エミリー・ディキンソン ダンテ・アリギエーリ 于武陵 孟浩然 杜甫 李白 カール・サンドバーグ ジョン・ダン ウィリアム・ブレイク ジョン・キーツ

2640円(税込)
四六判並製・270頁
ISBN978-4-7837-2793-4
2023年3月第1刷 2023年7月第2刷

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