詩の本の思潮社

ホーム新刊情報月別リスト > アーカイブ
新刊情報

小縞山いう『リリ毛』


第56回現代詩手帖賞


あなたの表情も足音も夕暮れも
すべてが濡れてしまって
水彩という匿名
夜る
だけが そこに描かれている
(「Re:チランジア」)

「数億年先も消滅しない詩=恒星のまわりをぐるぐる回り、朝夕の、そして季節ごとの光の移ろいの中で落ちていく文字の影、あるいは感受性の輪郭=自己」(中尾太一)、「「残」の「残」の「残」が、果てしなく行として繋がり、(…)送り仮名を湿潤させ、そのうちに行間がうるおい、ついには全体が水彩のとろみとして現れる」(岸田将幸)。ことごとく文字は滲み、行は残像する。2018年現代詩手帖賞受賞詩人による、待望の第1詩集。カバー作品=鈴木いづみ 

本体2200円+税
四六判並製・110頁
ISBN978-4-7837-3645-5
2018年11月刊

本のご購入はこちらから



 

新倉俊一『ウナ ジョルナータ』


魂の色だろうか


まだ神無月だというのに
アフロディーテやアテナイやら
女神たちがつぎつぎと
海を渡ってやってくる
(「ある一日」)

エミリ・ディキンスン、西脇順三郎、西行や式部まで――長年に渡り親しんできた詩人たちへ静かにつづるオマージュ。英詩の名訳者である著者による、待望の新詩集。カバー作品=西脇順三郎、装幀=伊勢功治

本体2400円+税
四六判上製・102頁
ISBN978-4-7837-3637-0
2018年10月刊

本のご購入はこちらから



 

新延拳『虫を飼い慣らす男の告白』


忘られぬ人びとへ


大人になっても、ぼくの時間感覚や身体感覚は
子どものときのようにずれていると思うことがある
地に足がつかず、身体がちぐはぐで、浮遊感が残っている
ぼくは今何処を旅しているのだろう
(「ぼくのポケット」)

人生の酸いも甘いも知り尽くしてきた詩人が、自らの歩んできたさまざまな地点にたたずみながら、通り過ぎていった人びとをうたった27篇のエレジー。

本体2600円+税
A5判上製・136頁
ISBN978-4-7837-3647-9
2018年10月刊

本のご購入はこちらから



 

こたきこなみ『そして溶暗』


家族と記憶と


人は無我に生まれさせられ
身の抜け殻の始末は免責となる
不用意に始まり不始末で終わる天の恵み
(「闇鍋の日々を来て」)

「思春期のころから私は家と名のつくものに違和感があった。……それでいて無為に時は流れ、気がついてみると折に触れては家族、血縁についての作品を書きためていた。あらためてその意味を考えずにはいられない」(あとがき)。戦中戦後と激動の時代を生き抜いてきた詩人が人生を振り返り、先立った両親と巣立っていった子供たちに捧げた最新詩集。

本体2200円+税
A5判上製・98頁
ISBN978-4-7837-3646-2
2018年10月刊

本のご購入はこちらから



 

和合亮一『QQQ』


第27回萩原朔太郎賞受賞!


わたしたちそのものがこの風景だ?
もはや疑問そのものが?
牛の姿をしている?
(「QQQ」)

「わたしは夜になると/寂しい場所にある大きな刑務所へと歩きます/道なりが続いていて車も人もいないのです」(「蛾になる」)。騒然とした無人の現在を超え、全身で立ち上がる絶対的な問い。「現代詩手帖」連載時に反響を呼んだ「QQQ」を収録、和合亮一が挑む未来のためのシュルレアリスム! 装幀=中島浩。重版出来!

本体2400円+税
菊判上製・128頁
ISBN978-4-7837-3644-8
2018年10月刊

本のご購入はこちらから



 

鯨向海/及川茜訳『Aな夢』


台湾現代詩人シリーズ⑯


ぼくの花とぼくの葉は
やはり羞じない防波堤で、密航を試みるどのきみも
(神秘の唇で強くぼくをしゃぶったきみ、きみ、きみだよ) 
若者も壮年もすでに老いた者も
幸福の感覚はすごく痛くて
ぼくは夢の中の果樹園で純真に膨張をつづける
(「果物」)

アダルトな夢?あるいは失われた楽園の遺物?公衆トイレ、ジム、弾丸ブリーフ……夢の中で言語は膨張し、抒情と精液が噴水のように溢れ出す。90年代半ばに慧星のようにウェブにあらわれた特異な詩人の到達点、待望の完訳。 

本体2300円+税
四六判並製・176頁
ISBN978-4-7837-2784-2
2018年10月刊

本のご購入はこちらから