詩の本の思潮社

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現代詩文庫『中上哲夫詩集』

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詩を生きる 詩と生きる


詩を書くことに疲れてベッドに横になろうとする時刻、枯葉を踏む音がまっしぐらに近づいてくるのだ。男の家に向かって。はるか遠方から。

そして書斎の窓から大きな頭部をさし入れると、机の上の書きかけの詩稿を読み始めるのだ。熱心に。かれはそのために遠い道のりをやってくるのだ。夜ごと夜ごと。そうして、読み終えると、ふたたび帰っていくのだ。森の奥へ。
(「未明に訪れる者よ」)


「それでもその人とその作品とをほんものと称揚せずにはいられない。詩人中上哲夫とは、なんと幸福な、いまいましい存在であることよ!」(高橋睦郎)。『下り列車窓越しの挨拶』から『ジャズ・エイジ』(詩歌文学館賞)まで、しなやかな抒情あふれる10詩集より精選。路上派の出発いらい半世紀の詩業を一望する。解説=辻征夫、八木忠栄、経田佑介、相沢正一郎

本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0992-3
2015年6月刊

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現代詩文庫『続・岩田宏詩集』

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日本語つかいの名手、その閃き


風通しのいい部屋で ある夏の日の夕ぐれ
予告もなしに細長い棺桶が運びこまれた
ぼくはそれを釘に打ち重油をかけて焼いた
おふくろは骨だけになり今は骨箱に住む
(「部屋」)


「「知ってる ありゃあ死んだ女の声だ/ふりむけば/誰も見えやしねえんだ。」(「神田神保町」)岩田さんには会えなくなってしまったけれど、岩田宏の詩がある限り岩田宏は死にやしねえんだ」(平田俊子)。鋭く研ぎこまれた憤怒と、遊びごころをはらんだ天性のリズム。音韻的技法を縦横に駆使して現実と渉りあう、詩人岩田宏の沸騰する言葉たち。新選現代詩文庫を新装増補。詩集未収録詩篇などを新たに収める。解説=谷川俊太郎、鈴木志郎康、八木忠栄

本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0989-3
2015年6月刊

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北川透『なぜ詩を書き続けるのか、と問われて』

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わが循環器たち


ワタ シ タチ バラバラニサレタ骸骨ノ六ツノ断片
ワタ シ タチ 死後ノ植民地ノ貨幣ヤコトバヲツカウ
ワタ シ タチ シデナイシカ シガナイシカ
(「笑うマネキンたち」)


「いつからか、詩はわたしにとって、身体に例えれば循環器になっている。これまで幾度も直面した、生活上や精神上の危機を、いちおう乗り越えられてきたのも、書くという行為、特にその中心に詩があったからだ、と思う」(覚書)。詩と批評の両輪で走りつづける著者が、「六片シリーズ」として震災をあいだに書き継いだ新詩集。162の詩片群が烈しく今を生きようとする。装幀=毛利一枝

本体2,800円+税
A5判変型上製・176頁
ISBN978-4-7837-3468-0
2015年6月刊

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