現代詩文庫『中上哲夫詩集』

詩を生きる 詩と生きる
詩を生きる 詩と生きる
詩を書くことに疲れてベッドに横になろうとする時刻、枯葉を踏む音がまっしぐらに近づいてくるのだ。男の家に向かって。はるか遠方から。
そして書斎の窓から大きな頭部をさし入れると、机の上の書きかけの詩稿を読み始めるのだ。熱心に。かれはそのために遠い道のりをやってくるのだ。夜ごと夜ごと。そうして、読み終えると、ふたたび帰っていくのだ。森の奥へ。
(「未明に訪れる者よ」)
本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0992-3
2015年6月刊