詩の本の思潮社

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『粟津則雄著作集 第Ⅸ巻』作家論Ⅱ

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力づよい描線と細やかな凝視


「史記』の司馬遷から『暗い絵』の野間宏、『蝮のすえ』の武田泰淳、そして『出発は遂に訪れず』の島尾敏雄をへて『死霊』の埴谷雄高へ、発表の前後を無視してこのように並べて考えれば、粟津則雄がこの巻で注目しているのは、日常的な時間のひろがる地平をはるかに超えた何かしれぬ非日常的な高みである。そこでは日常的な時間は変質してしまい、「私」もまた「私」の枠を残したまま異様に変貌している。
(解説=清水徹)



若き粟津則雄の内面に大きな転換をもたらした「第一次戦後派」の文学。野間宏、埴谷雄高、武田泰淳、島尾敏雄らの作品の特質が、力づよい描線と細やかな凝視とによって鮮やかに語られる。『解体と表現』『主題と構造』『あなたへの手紙』全篇ほか、単行本未収録の古井由吉論、中上健次論を収む。解説=清水徹

本体7,800円+税
菊判貼函入・626頁
ISBN978-4-7837-2368-4
2014年12月刊

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鈴木有美子『ホッパー大佐対真夜中の滝』

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不完全な夢の果てで


眠りそびれてしまったね
彼女たちの目覚めも待てずに
ついにホッパー大佐侵攻の朝だ



夢から増殖して私を徐々に壊していくものたち、眠らない夢の暗闇を侵す真夜中の戦争――奔放な想像力がつくりだした頭脳の王国で、言葉の光と闇が凄絶な衝突をはじめる。地球賞受賞『水の地図』から11年、待望の新詩集。装画=岩佐なを

本体2,200円+税
A5判上製・96頁
ISBN978-4-7837-3455-0
2014年11月刊

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『歩くための地誌――新井豊美評論集Ⅱ』

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歩行のリズムに導かれて


誰のこころにも、どんな犬にも、歩行のための地図というものがあるだろう。そのための地誌を語りたい。
(「歩くための地誌」)



「新井さんは対象世界に、歴史的視点で存在主体に問いかける核心につきすすむことを目指していった、そこに新井さんの宿命的な倫理としての特性をみる」(倉田比羽子)。対象への澄明な眼差しと詩への愛情に支えられた14の詩人論と、著者の詩の魅力に通じるエッセイ「歩くための地誌」を収載。装幀=伊勢功治

本体2,700円+税
四六判上製・248頁
ISBN978-4-7837-1697-6
2014年11月刊

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『「ゲニウスの地図」への旅――新井豊美評論集Ⅰ』

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生前構想された評論集、2冊同時刊行


菅谷規矩雄という詩人の言葉は、わたしたちの心に直截にその手で触れてくるようなある種のなまなましい肉感性があり、それゆえに詩はあらゆる認識上の手続きを飛び超えて、詩人の深部にわたしたちをじかに立たせてしまうのである。
(「「ゲニウスの地図」への旅」)



「新井さんの《「遅れた返信」》である「「ゲニウスの地図」への旅」は、菅谷の往信「戦後詩の帰結」がみずから顕わにしている、この詩的論理の難路をどう見ているのか、そこがわたしの関心の赴くところでした」(北川透)。吉本隆明から、山本陽子、菅谷規矩雄まで――。「女性詩」にとどまらぬ、新井豊美の詩論の全容。装幀=伊勢功治

本体2,700円+税
四六判上製・258頁
ISBN978-4-7837-1696-9
2014年11月刊

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