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『粟津則雄著作集 第Ⅸ巻』作家論Ⅱ

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力づよい描線と細やかな凝視


「史記』の司馬遷から『暗い絵』の野間宏、『蝮のすえ』の武田泰淳、そして『出発は遂に訪れず』の島尾敏雄をへて『死霊』の埴谷雄高へ、発表の前後を無視してこのように並べて考えれば、粟津則雄がこの巻で注目しているのは、日常的な時間のひろがる地平をはるかに超えた何かしれぬ非日常的な高みである。そこでは日常的な時間は変質してしまい、「私」もまた「私」の枠を残したまま異様に変貌している。
(解説=清水徹)



若き粟津則雄の内面に大きな転換をもたらした「第一次戦後派」の文学。野間宏、埴谷雄高、武田泰淳、島尾敏雄らの作品の特質が、力づよい描線と細やかな凝視とによって鮮やかに語られる。『解体と表現』『主題と構造』『あなたへの手紙』全篇ほか、単行本未収録の古井由吉論、中上健次論を収む。解説=清水徹

本体7,800円+税
菊判貼函入・626頁
ISBN978-4-7837-2368-4
2014年12月刊

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