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高橋綾子・小川聡子編訳『現代アメリカ女性詩集』

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アン・ウォールドマン、ダイアン・ディ・プリマ、ジョアン・カイガー、ジェーン・ハーシュフィールド


わたしたちは海と一緒に戻ってくる、潮の満ち引きとともに、
わたしたちは葉のように何度も何度も戻ってくる、
草のように無数に、やさしく、執拗に、わたしたちは
道を覚えている、
赤ん坊たちが、世界のすべての街を裸足でよちよち歩いてゆく。
(ダイアン・ディ・プリマ「革命の手紙 4番」)

「この選詩集に登場する詩人たちをつなぐキーワードは、仏教と環太平洋文学です。(…)彼女たちの芸術家として、仏教徒としての主たる関心は、常にいのちを深く見つめる視点です。これは、カウンターカルチャーの遺産であり、ジェンダーを越えた、生命中心の視点と言えます。女性詩人たちの業績の評価によって、環太平洋文学の全体像のなかに、生命中心の視点があると言えるでしょう」(編訳者あとがき)。ビート・ムーブメント以降のアメリカを代表する女性詩人たちの名詩選。4人それぞれとゲーリー・スナイダーへの最新インタヴューを付し、ついに本邦初訳なる!

本体2,400円+税
四六判並製・210頁
ISBN978-4-7837-2899-3
2012年3月刊

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ヨハネス・キューン/飯吉光夫訳『僕、片隅の客』

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現代の牧歌


僕、片隅の客、
みんなに遠ざけられ、
波のようにひたいを洗っていく
周囲の笑いだけを受け容れている、
ほうら、僕がいま差し出す五百円貨には汗がにじんでいる。
(「居酒屋で」)

「こののどかな調子は一見して時代錯誤的である。しかし、この牧歌は現代詩に欠けている情趣を補うという意味で優れている。現代の何よりも精神の治癒を求めている人びとには一服の清涼剤の役をはたす。しかもこの穏和な調子の奥にはいつも周囲から隔てられている人間の心の傷つきがあり、その傷の深さが詩にこれまで忘れられていた新味を与えている。自分の欠点を美点に変えている例がここにもある」(飯吉光夫)。素朴、甘美、繊細――心の安らぎを求めやまない、現代ドイツ詩人の野趣あふれる75篇。

本体2,400円+税
四六判並製・208頁
ISBN978-4-7837-2898-6
2012年3月刊

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