詩の本の思潮社

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南川隆雄『詩誌「新詩人」の軌跡と戦後現代詩』

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「新詩人」から辿るもう一つの戦後詩史


戦後の詩的動向は「新詩人」の軌跡を抜きにしては語れない、というのが私の率直な見解であり、戦後詩史の公正で不可欠な資料として、詩誌「新詩人」の特異な活動を、できうる限り客観的に書き遺しておくことが本書の目的である。
(「序言――なぜ「新詩人」か」)

「新詩人」はなぜ戦後間もなく長野で出発を果たしえたか。信濃毎日新聞の田中聖二、穂苅栄一、小出ふみ子らによって温められ、同人誌・新人育成誌として特異な活動を展開した「新詩人」の初期10年を、同誌に関わった著者が入念な資料調査によって分析する。新たな視座をひらかれる、豊饒な戦後詩史の伏流水!

本体2,500円+税
四六判上製・208頁
ISBN978-4-7837-1675-4
2011年11月刊

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白井知子『地に宿る』

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ハイデ メンデ・ギヨナ


あの世も
この世も
さらなる世も
たがいに入りくみ
どこもかも岐れ道
(「アジャンター未完の石窟」)

「日本を離れ 外に向って/地の人の群れ ささやき 暮しの声よ/民族の影 うごめき続く血の歴史よ/止むことのない白井知子の促し/親和力を秘めながら 駅に佇つ」(長谷川龍生)。私は誰の娘であろうか――インドや中央アジアからトルコ、東欧やドイツと世界を歩き、少数民族の声に耳を傾ける。いのちの連鎖に詩の血脈をひろげ、月の光りにはこばれる祈りと交感の14篇。

著者の言葉

今回の詩集カバー母子像を制作した彫刻家、故白井保春はわたしの義父にあたる。東京、早宮のアトリエでは、こんなことがあった。わたしの伯父が胸像を依頼し、出来上がってきた二分の一のプロトタイプに親族みな息をのんだ。伯父の亡くなった父親に生き写しだったのだ。「血族が引きずりだされた」という直感がはしった。顔といわず、肉体のどの部位も、現在ここに生きている人のなかには血族たちが棲みついていて、そのひとりになりすましている――。初めての子を身ごもっていたわたしの聴覚は内側へ、さらに内なる処へと浸透していった。
後に1983年、アメリカ、カリフォルニア州、サンノゼ市に家族で一年滞在する機会をえた。移民最前線である人たちと出会いがあり、とりわけ、ヴェトナム難民の同性たちからは、子どもたちの将来のためなら命がけで海をわたる決心がついた、枯葉剤の猛威を知ってほしいなど、いたましい経緯を聞くことになった。彼らの存在により社会的視野の重さに直面し、できることなら海外の現地を歩きたいと思うようになっていった。
硬い記述の歴史をほぐし、記憶の痕跡に灯りをともすように日々に投影し、生物的観点を含めた歴史の縦軸、そして、現代という同時代を共に生きる人々の気息の横軸、交錯する昏迷の霧のなかで、自分の言葉を探し、始動させていきたい。

本体2,400円+税
A5判上製・102頁
ISBN978-4-7837-3280-8
2011年11月刊

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現代詩文庫『日高てる詩集』

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半世紀を超える詩業から精選


土の肉体を たちきる
どこから呼ぶのだ
アブラクサス ガラ ガラ ツェ ツェ
ぬぎ捨てた古靴
そのぬぎ捨てた おまえの古靴の踵をけむりの如くひかりが貫ぬいて
(「カラス麦」)

「以来50年、日高さんはその時すでに身につけていた知的で硬質、連想力豊かな感覚世界を縦横に遊泳し続けた」(倉橋健一)。戦後まもなく刊行された第1詩集『めきしこの蕊』から最新作『今晩は美しゅうございます』まで、あざやかな描像に充ちた半世紀を超える軌跡を一望する。解説=辻井喬、長谷川龍生、新井豊美、山田兼士

本体1,165円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0971-8
2011年11月刊

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伊藤比呂美『河原荒草』新装版

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第36回高見順賞受賞


ただいちめんにおおわれ、咲きひろがった
ただいちめんにおおわれ、咲きひろがった
ただいちめんにおおわれ、咲きひろがった
とても不思議だ/植物にかぎっては
死ぬというより/生きるほうが
よりふつうで/より後にやって来て
終わりがない
(「河原を出て荒れ地に帰る」)

「こんなふうに日本とアメリカを描いた詩集は、これまでになかった。圧倒的に力強い」(朝日新聞・佐々木幹郎)。「すべての生きるものを連結する、とても普遍的な詩集だと思う」(日本経済新聞・小池昌代)。新しい語りの力を拓いた長篇叙事詩の傑作。詩人伊藤比呂美の復活を告げた問題作が、菊地信義装幀の新装版で再登場。

本体2,000円+税
四六判変型並製・150頁
ISBN978-4-7837-3266-2
2011年8月刊

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