詩の本の思潮社

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新刊情報

やまだ紫『樹のうえで猫がみている』

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著者唯一の詩画集、復刊!


紫さんのガラス壜は、いつも私に送られてくるばっかりではない。周りのいろんな人がそれで潤っている。ひいては読者も。時には衝突する人もでてくるかもしれないが、彼女のメガネの奥の思慮深い目には、同胞に対する一筋のものが光っていると思う。―井坂洋子
 
やまだ紫は人が、ごく当り前にする事、その年齢の自然が人間にさせてくれる事を、自然に引き受けて生きている人だと思う。そしてそれがどんなにか、豊かな喜びや哀しみや苦しみを創り出してくれるかを知って生きている、いや生きることはそのことにつきる。―佐野洋子

 

樹たち、女たち、子どもたち。

昨年5月に急逝した漫画家唯一の詩画集を増補復刊。90年版を全篇に、その後「ラ・メール」に連載された未収録の詩と絵、宮柊二氏主宰の「コスモス」に連載された「見上げれば虹」を追録する決定版。作家論=つげ義春、佐野洋子、井坂洋子/対談=吉原幸子・やまだ紫。
 
やまだ紫(やまだ・むらさき)
1948年9月東京都世田谷区に生まれる。1969年「COM」5月号にてデビュー。その後、結婚育児による休筆ののち1978年に復帰。『はなびらながれ』『しあわせつぶて』『新編性悪猫』『しんきらり』『ゆらりうす色』といった作品の数々は、女性漫画と称され、その後の女性たちに大きな影響を与えた。
漫画、詩、エッセイの多方面で活躍。2009年5月歿。代表作である『性悪猫』『しんきらり』『ゆらりうす色』の3冊が小学館クリエイティブより復刊。

本体2,200円+税
A5判変型168頁
ISBN978-4-7837-3171-9
2010年2月刊

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やまだ紫関連書
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「現代詩手帖2010年3月号」
特集 やまだ紫の世界
◆対談 井坂洋子+白取千夏雄
◆単行本未収録 やまだ紫「番人」(原作・井坂洋子)
◆やまだ紫著作一覧・略年譜
◆エッセイ 齋藤愼爾、村上知彦、檜垣立哉、吉田アミ、上野昴志、高取英、岬多可子、棚沢永子、山本ふみこ、こうの史代、三角みづ紀
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清眞人『三島由紀夫におけるニーチェ』
サルトル実存的精神分析を視点として

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なぜテロリズムなのか


私がニーチェについて考え出し集中的な研究にのりだしたのは、そんなに古いことではない。……だが、彼を立ち入って知るにおよんで、私はすぐに誰かを探そうと思った。ニーチェに深く影響を受け、彼の作品の隅々までニーチェの声が木霊しているような作家を。

(あとがき)
 
13歳の少年のときすでに私は、
悪の期限の問題につきまとわれた。
―ニーチェ

なぜ、ニーチェは13歳で「魔の時」を迎えたのか。それは三島由紀夫がニーチェに問いかけた問題でもあった。ニーチェを読む三島を実存的精神分析によって抉り出し、自刃へ帰結する思想的軌跡を鮮やかに浮かび上がらせる。サルトル、ニーチェ、三島を縦横に語りつくし、人間性の深淵たる暴力性に果敢に迫る―文芸批評の新たなる挑戦!
 
清眞人(きよし・まひと)
1949年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科(哲学専攻)修了。現在、近畿大学文芸学部教授。本書に深くかかわる著作に以下のものがある。『<受難した子供の眼差し>とサルトル』(御茶の水書房・1996)、『実存と暴力―後期サルトル思想の復権』(御茶の水書房・2004)、『《想像的人間》としてのニーチェ―実存分析的解読』(晃洋書房・2005)。ほかの著書・論文等多数。

本体3,800円+税
四六判390頁
ISBN978-4-7837-1657-0
2010年2月刊

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福島泰樹『完本 中也断唱』

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中也の詩と人生を短歌に変奏
『中也断唱』『続 中也断唱』を再構成する決定版

さなり十年、そして十年ゆやゆよん
咽喉のほかに鳴るものも無き
口語体と文語体と下町ことばを自在に駆使しながら、中也の魂の怒り、呻き、叫びを代唱しつづけてきた著者の中也詩短歌変奏の試みのすべてを伝える決定版。
作家論=磯田光一、菅谷規矩雄、立松和平、菱川善夫、鈴木貞美
装幀=間村俊一
 
福島泰樹は、中也のくやしさを追体験しながら、中也個人の代理人をつとめようと志しているわけではない。中也に同化しながら中也からの超出を試み、中也のくやしさを、より普遍化し、現在のものとして歌おうとしているのだ。 ―菱川善夫

福島泰樹 1943年東京下谷生まれ。早稲田大学文学部哲学科卒業。下谷にある法昌寺の住職を務めている。歌集に『バリケード・一九九六年二月』(新星書房・1969)『中也断唱』(思潮社・1983)『望郷』(思潮社1984F)『続中也断唱[坊や]』(思潮社・1986)『柘榴盃の歌』(思潮社・1988)『さらばわが友』(思潮社・1990)『茫漠山日誌』(洋々社・1996・第4回若山牧水賞受賞)『青天』(思潮社・2005)『無聊庵日誌』(角川書店・2008)など多数。中原中也関連書籍では『誰も語らなかった中原中也』(PHP新書)、『中原中也 帝都慕情』(NHK出版・2007)などがある。
※略歴は本書刊行時のものです。

本体3,600円+税
菊判変型280頁
ISBN 978-4-7837-3169-9
2010年2月刊

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福島泰樹の歌集

『青天』

本体2,800円+税
菊判変型176頁
ISBN 978-4-7837-2112-3
2005年11月刊

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『柘榴盃の歌』

本体2,400円+税
A5変型161頁
ISBN 978-4-7837-0270-2
1988年刊 品切れ