現代詩文庫『永瀬清子詩集』新装重版出来!

詩とアフォリズムの代表作を網羅
詩とアフォリズムの代表作を網羅
老いるとはロマンチックなことなのか
もうあと僅かなので
心は急ぐ朝も夕も
崖っぷちの細道をゆくように
(「老いるとはロマンチックなことなのか」)
永瀬さんの作品に現れてくる性はきわめて現実的であり、それ故に多義的だ。その詩は二十世紀の日本を生きるひとりの女の証言として読むこともできるが、そのとき私たちは時代とともに永遠を垣間見ざるを得ぬだろうし、希望とともに永瀬さんの諦観をも読みとらざるを得ないのだ。ーー谷川俊太郎
モダニズムを経由しながら、生命力溢れる作品を数多く残した永瀬清子。『グレンデルの母親』『あけがたにくる人よ』をはじめ、短章集より厳選収録。
【収録作品】
〈グレンデルの母親〉
グレンデルの母親は/彗星的な愛人/星座の娘
〈諸国の天女〉
諸国の天女/イトハルカナル海ノゴトク/フルヒ落シテキタモノガ/祝ぎ歌あるいは望み歌/雨フレバタマシヒノ/打チフレヨ/無色ノ人/ある夏の日に/何物もたづさえず/脱皮
〈大いなる樹木〉
大いなる樹木/わかみどり/外はいつしか/起てよお前は朽葉でない/三月/神々/天空歌/太陽歌/いつの日も/わが運命/早春/述懐/花/夏至の夜/そよ風のふく日に
〈美しい国〉
美しい国/踊りの輪/手品/冬/辿る/夜に燈ともし/降りつむ/地図
〈焰について〉
だましてください言葉やさしく/禱り/村にて/女のうたえる/木蔭の人/梳り/八月短章/私は/夏のわかれ/この夏の最後の詩/秋の日に/微塵/抒情詩/野薔薇のとげなど/なぜこんなに/十一月/焰について
〈薔薇詩集〉
熊山橋を渡る/私の馬は/告知/見えるものの歌/渦/魔術の歌/マイダスの王/夕ぐれ/願わくば金の真昼に/束の間/月の出/苗/蛇/焼き傷/金星/象/月について/我のなべて/めぐってくる五月には/暁が来た時に/夕陽の中に/朝になると/夜あけ/川水の渦巻の中には
〈山上の死者〉
わが麦/今日 精神病院へ/鎌について/私の足に/この海の/私はその人を征服したのだろうか/蒼いものさびしいあけ方/滅亡軌道/廃墟はまだ冷えていない
〈海は陸へと〉
私は地球/アポロたちも/履歴/人はみな/海は陸へと/息子の結婚/石炭と思って
〈続永瀬清子詩集〉
捕え得ず/出ていった三章 a出ていった b焦げついた cものもらい/シバの女王/背骨について
〈あけがたにくる人よ〉
あけがたにくる人よ/老いたるわが鬼女/お茶の水/昔話/老いるとはロマンチックな事なのか/弥生のもみじーーある人に/唇の釘/女の戦い
〈エッセイ〉
「午後二時の手帖」から/短章集『蝶のめいてい』から/短章集『流れる髪』から/「竹の葉」と「沓」/微少なものへの味方/日々のつぶやき/幻の二頭馬車ーーその鎖状態の進み
年譜
解説=飯島耕一、谷川俊太郎、大岡信、干刈あがた、治村富士雄
1870円(税込)
四六判並製・160頁
ISBN978-4-0857-5
1990年2月第1刷 2024年9月第3刷