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編集部から

現代詩文庫『八木重吉詩集』新装重版出来!

2024年10月21日

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琴はしづかに鳴りいだすだらう

この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美くしさに耐へかね
琴はしづかに鳴りいだすだらう
(「素朴な琴」)


「聖書に直かに学びながら、無邪気なまでに自然秩序のなかに息づく人格的な神を呼びつづける所作などは、考えてみれば日本の精神風土に根ざした求道者の系列に結ばれる要素を含んでいたと思われるのである。日本人らしい感性も、純粋苛烈な祈りも、そこにとかしこまれ、生や死についての言葉や、宇宙観がつねににじみ出ている詩。その詩の平明で素直な表現でありながら、しかも人間存在の根源的なものを表出しえているところが、とりわけ人々の心をとらえてきたのではあるまいか。」――田中清光

簡潔清新な言葉で対象をとらえ、人間存在の根源を指し示した八木重吉。生前編まれた2冊の詩集『秋の瞳』『貧しき信徒』全篇に加え、拾遺詩稿を多数収録。
解説=吉野弘 郷原宏 田中清光

1870円(税込)
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0848-3
1988年7月第1刷 2024年9月第5刷

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