詩の本の思潮社

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編集部から

三井喬子さんの『青天の向こうがわ』が第12回小野十三郎賞を受賞しました

2010年09月30日

9月24日、第12回小野十三郎賞(大阪文学協会主催、朝日新聞社共催)の選考会が行われ、三井喬子さんの詩集『青天の向こうがわ』の受賞が決定しました。選考委員は、金時鐘、倉橋健一、小池昌代、辻井喬、坪内稔典の各氏。選考対象は詩集132冊、詩評論書4冊。贈呈式は11月27日午後1時半、大阪文学学校にて。 賞金50万円。同賞特別賞には、季村敏夫さんの詩評論書『山上の蜘蛛――神戸モダニズムと海港都市ノート』(みずのわ出版)。賞金10万円。 「三井作品は、生きていることの愛しさ優しさを描き出しながら、時に社会的批評性も光る作品、モダンな作風の中に音韻的な美しさが認められる点も特長、と評価された。特別賞の季村作品については、神戸詩人事件に端を発するモダニズム詩史を丹念に調べ上げた労作であり、地域の文化史的要素を含むとともに、詩人らしい想念や思想にも特長がある、と評価された。小野十三郎賞の特質を時代意識・社会認識におけるリアリズムとしながらも、詩の広大な拡がりをも重視する観点から今回の受賞作が決まった、との講評も」(大阪文学学校HP)。 

   

有働薫さんの『幻影の足』が第28回現代詩花椿賞を受賞しました

2010年09月17日

9月16日、第28回現代詩花椿賞(資生堂主催)の選考会が行われ、有働薫さんの『幻影の足』の受賞が決定しました。選考委員は八木忠栄、平田俊子、藤井貞和、阿部日奈子の各氏。【有働薫氏受賞のことば】「賞をもらいたくて詩を書いているのではもちろんなくて、まったく賞に恵まれなくとも書かずにはいられないのですが、こうしてあこがれの賞を受けるという夢のような現実に向きあって、しばし茫然として言葉がありません。長い間詩を読み、書いてきました。20代まではほとんど読むだけでした。30代も半ばを過ぎて気がつくと詩を書かずにはいられなくなっていました。第1詩集『冬の集積』の出版は48歳の時でした。晩(おそ)い出発で、その故の苦しみもあり、人生上の失敗もありました。そういった諸事が確実に詩を鍛えてくれたように思います。長い間かわらず支えてくださった方々、そして選んでくださった選考委員の方々に心から感謝いたします」

小池昌代さんの『コルカタ』が第18回萩原朔太郎賞を受賞しました

2010年09月17日

【毎日新聞・9月4日朝刊】
優れた現代詩作品に贈られる「第18回萩原朔太郎賞」(前橋市など主催)に3日、詩人で小説家の小池昌代さん(51)=東京都渋谷区=の「コルカタ」(思潮社)が選ばれた。小池さんは「受賞の知らせを聞き、心が震えました。朔太郎はここ数年私の愛読書でした」とのコメントを寄せた。
小池さんは東京都江東区出身。97年、詩集「永遠に来ないバス」で現代詩花椿賞を受賞、07年には短編小説「タタド」で川端康成文学賞を受賞している。
選考委員を務めた歌人で医師の岡井隆さんによると、「コルカタ」は、小池さんがテレビ番組収録のために09年、2週間滞在したインドのコルカタでの体験を基に書かれた。小池さんは帰国後の1カ月間、毎日1編ずつ書いた詩を都内の書店の店頭で発表・掲示したという。
岡井さんは「短期間で一種のルールに従って作られた作品であり、作者の冒険心が感じられる」と評価。詩人で評論家の白石かずこさんは「コルカタに行きワイルドなエネルギーをとってきて、作品に昇華させたことが素晴らしい」と話した。
賞の贈呈式は10月30日、前橋市千代田町3の前橋文学館で行われ、小池さんには萩原朔太郎のブロンズ像と賞金100万円が贈られる。【塩田彩】