はっきりとしたものはすでに遠のきとてつもない色合いをひとは求めはじめたのか(「光を」) 生きていることは、何と悲しみに満ちていることか――。引き揚げの体験から震災を経験した現在の日本まで、ひとつながりの痛みの記憶。傷はふかくふかく奥にひそんで、痛みを放ちつづける。「歩く」という言葉に願いを託し、ただひたすらに思い、見つめる言葉の軌跡。
本体2,400円+税 A5判上製・108頁 ISBN978-4-7837-3294-5 2012年6月刊