死んでいったひとりの友が半身を無間に転写されながら 振り子で水脈を探しあてている それでこのうねり波うつ道に 新しい水道管が縦横に走っている訳がわかった(「溝」) 井坂洋子の言葉はぬくい。肉体が腐敗する瞬間の発熱のようにぬくい。飲み込むと食道がちりちりと痛む。下腹部が静かに疼く。身体の経験としての言葉の新次元。現代詩はとうとうここまできた――。装画=森育子
本体2,400円+税 A5判上製・138頁 ISBN978-4-7837-3223-5 2010年10月刊