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連東孝子訳『W.S.マーウィン選詩集』

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詩とヤシの木の庭


今のぼくの半分の歳の母がずっと前に取り外した窓の傍にいて
 同じ部屋に友たちがいて ことばがまわりで夢見ている
動物たちの目はぼくに注がれ みんながここにいる
 冬の花々へと向かう途中の
朝のさわやかさの中に 曙光の中に
(「賜物の日」)

「大地と海と草木と空からヒトを通して詩が生まれる現場」(谷川俊太郎)。禅や俳句、ディープエコロジーの思想の影響を受けながら作品ごとに作風を変え、深い思索を詩語に結実させたW.S.マーウィン。ハワイの広大な「庭」を耕しながら、詩作に励んだアメリカの桂冠詩人、初の邦訳選詩集。造本=清岡秀哉

W.S. マーウィン 詩人、翻訳家
1927年ニューヨーク市生まれ。ニュージャージー州ユニオン市で育つ。プリンストン大学在学中に詩人を志す。南欧とロンドンを転々としながら、各地の古典の翻訳詩、詩、詩劇などを発表。52年第1詩集『ヤヌスの面』でエール大学新人賞を受賞、選者W.H.オーデンの高い評価を受ける。以後、詩集毎に新しい視点と詩法を世に問い、詩人としての確かな位置を築いた。60年代、ニューヨークを拠点に、反核、反戦運動に参加。75年以降、マウイに定住し、禅の修行を続ける傍ら、詩作とディープエコロジーの概念に添い荒地に「庭」造りを成功させる。多数の文学賞や顕彰を受ける。2019年3月マウイの自宅で逝去。

連東孝子 Takako Lento(訳者)
福岡県北九州市出身。津田塾大学英文科卒業。九州大学大学院の中途でフルブライト研究員としてアイオワ大学創作科に留学(MFA.)。九州大学修士修了後、渡米。三年間アイオワ大学の中国・東洋学部で専任講師(日本文学と文化の講座担当)。田村隆一”World Without Words””On the Life and Work of a 20th Century Master”、谷川俊太郎” The Art of Being Alone : Poems 1952-2009”” Ordinary People”はじめ現代詩の英訳、W. S. マーウィン、ニッキ・ジョバンニ・ジェームズボールドウィンの邦訳を手がける。W.S.マーウィンとの『蕪村句集』の共訳(Collected Haiku of Yosa Buson)および現代詩の先達(Pioneers of Modern Japanese Poetry)のうち、金子光晴の翻訳に対して日米友好委員会翻訳賞を2度受賞。米国デラウエア州在住。

2640円(税込)
四六判並製・208頁
ISBN978-4-7837-2789-7
2022年4月刊

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