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貞久秀紀『明示と暗示』

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時間のかたち


ある文によって暗示されることがらがすでにその文に明示
されている――そのような文があるだろうか。ゆれている枝
によってよびおこされるものが、ほかでもないそのゆれている
枝であるように。


著者の言葉
枝のゆれうごきをあきずにながめていて、それをあとになって
「枝のゆれうごきをあきずにながめていた」と書いてみても、
それはそこで起きていたことの説明にはなっていても、その
とき体験されていたことの感じからはかけ離れているように思
える。ある文のあり方がそのときそこで感じられていたことの
あり方でもあるような記述とはどのようなものだろうか。それ
をなるたけ観念のほうへはゆかず、だれもが五官で知覚しう
ることがらの範囲にとどまりながら書くことができるだろうか。


著者略歴
1957年生まれ。奈良県在住。詩集に『ここからここへ』『リアル日和』
『空気集め』(H氏賞受賞)『昼のふくらみ』『石はどこから人であるか』
がある。

本体2,400円+税
A5判変上製・104頁
ISBN978-4-7837-3197-9
2010年7月刊

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