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海外詩文庫『レクスロス詩集』


ジョン・ソルト、田口哲也、青木映子訳編


あなたの舌がつま弾きし わたし
のなかにはいってくる すると
わたしはからっぽになり
めくるめく光で燃えあがる ちょうど
大きな拡大しつつある真珠の中にはいったみたい
(「摩利支子の愛の歌」)

20世紀における最も重要かつ優れたアメリカ詩人・思想家のひとりとして、近年評価が高まるケネス・レクスロスの文学的業績は多岐に渡る。率直で論述に長け、熟考を重ねた末に展開される豊かな教養と知識——レクスロスは詩や散文で独自のスタイルを確立した。またジャズ演奏に合わせて詩を朗読した先達者で、さらに西欧の芸術様式で実験的手法を試みた最初の米国人画家のひとりであった。「ビートの父」として知られているが、神秘主義的な思想に関心を寄せ、東洋の歴史、文学、芸術に造詣が深く、中国や日本の古典詩を翻訳・紹介した。本書では、大自然の普遍的な美を取り上げた短篇詩「キングス・リバー・キャニオン」や、日本の古典詩歌をふまえた情緒溢れる長篇詩「摩利支子の愛の歌」など代表作を収録。また文化、社会および環境問題を先見性に富んだ鋭い洞察力で論じた新聞コラム記事を紹介。博学多才で知られるレクスロスを多角的に検証し、その稀有にして波瀾に満ちた生涯の軌跡を辿る。(文:ジョン・ソルト)
翻訳主幹=片桐ユズル。詩人論・作品論=モーガン・ギブソン、児玉実英、ロバート・カーシュ、白石かずこ、ジョン・ソルト。解説=田口哲也。年譜=青木映子

本体1165円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-2516-9
2017年9月刊

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