伊藤浩子『undefined』

もうひとつの言葉の迷宮へ、ようこそ!
もうひとつの言葉の迷宮へ、ようこそ!
「まだ話は終わってないわ」
「そうよ、ちゃんと最後まで聞いてよ」
「僕は黙って二人の顔を見た。
「それからね、私たち、血を飲むのよ」
「ほんの数滴だけれど。あれの最中に」
「相手の手首だか首筋だかに傷をつけて、そこに口をつけて、ちゅうちゅうってね。血って美味しいのよ」
「男の人って不思議ね、そうしているとみんなちゃんと果てるの」
「陶然としてね、すごく気持ちよさそうなの」
(「呪い」より)
これは散文詩でも、詩的散文でもない。あえて言うなら上質な短編小説集、あるいは奇譚集と言うべきだろう。しかし、読後におとずれる大きな謎に触れると、これが詩集以外のなにものでもなかったことに気づく。実力派詩人の挑戦的奇書!
本体2400円+税
A5判変型並製・236頁
ISBN978-4-7837-3457-4
2014年10月刊