晩冬の星空を見上げると 水没した村に幽かに立っている 一本の杉の木のように 寂しい空の中に埋もれる (「空の水没」) 私は十代を失語状態のように過ごしたが、それは自分の生の言葉が見つからなかったということでもあったと思う。血や叫びや、生きることの中で消えてしまうものを、言葉ですくい取る、詩という形式は、何よりも、もう一つの生だった。(「書くこと・生きること」)
本体2,400円+税 A5判並製・96頁 ISBN978-4-7837-3391-1 2013年11月刊