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現代詩文庫『村田正夫詩集』

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平和はまだ訪れていない


世はまさに風神雷神である
封紙頼信紙である
忠臣楠氏である
中止乃至死である
精子卵子である
喰う詩
空詩
空襲である
サイレンである
ヒロシマナガサキである
ナガサキアゲハである
アフリカオナガヤママユである
スワヒリ語である
ジャンボーである
風スル馬牛である
風刺である
(「バラ色の人生」)


このドラスティックな改革をまともに受けた村田正夫は、戦後のあらあらしい現実を生きる青年として、するどい感性と判断力で、諷刺詩という武器をつかって、自分の正しい位置をとらえつづけた。村田正夫は、若い詩人たちの面倒をみながら、一生、その視座をつらぬいた。――三木卓

自ら詩誌「潮流詩派」を組織し、出版も手がけた詩人による24冊の詩集から抄録。諧謔、皮肉、ユーモア……いまなお色褪せぬ風刺の力により現代を鋭く射貫く。
解説=八木忠栄、福島泰樹、岡和田晃

1650円(税込)
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1028-8
2024年1月刊

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現代詩文庫『藤田晴央詩集』

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雪国がはぐくむ清冽な抒情


今 たましいは
この無数に降りしきる雪にのって
舞い降りているのだろう

まるで湧きでるようね
降りしきる雪を見あげながら
おまえはよくそう言った
今 おまえのたましいも

湧きでている
泉のように
わたしに向かって
子どもらに向かって
(「空の泉」)


優しげな表情に油断してはならない。藤田晴央の詩にはおそろしく深い淵がある。とはいえその詩はだれかを驚かせようとしているのではない。幸せになろうとしているのだ。その詩はなにかを教えようとしているのではない。教わろうとしているのだ。その詩は生きようとしているのだ。――池井昌樹

個から普遍へ、普遍から個へ。『夕顔』(三好達治賞)『空の泉』全篇はじめ、初期詩集から最新詩集までを抄録。清水昶との80年代の対話「文学の「達成」とは?」収録。
解説=新川和江、中上哲夫、伊藤芳博、久保隆

1650円(税込)
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-1027-1
2024年1月刊

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