詩の本の思潮社

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新刊情報

村松英『無言館にて』


忘れないこと


たのしいこと心地よいことを
残っている間にしてしまうつもりです
店じまい ですから
(「店じまい ですから」)


「黒田三郎は言った。「幸せな人は、詩を書くな」と。詩は、私が幸せではなかった時の足跡だったかもしれない。出口を見つけられず、前に進めなかった時、「そうだ、詩を書こう」と、いつも頼っていたのが詩だったのだから」(あとがき)。懐かしい人たちの呼び声に耳を澄まし、歳月を刻んで後悔も安堵の心もふくみこんだ生のありようを、かろやかに深みをもって描きだす31篇。

本体2400円+税
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-3415-4
2019年3月刊

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伊藤浩子『たましずめ/夕波』


鎮魂と和解のディスクール


波に覆われた地母神の
辿った道もはるかに
月光にも病み
八年の
追いつけない空白よ

遠野の、東北の、血と乳の海と父と大地の、震える言葉、淡く光る記憶。三つのテクストの〈語り〉の螺旋が、喪失と〈和解〉、祈りと新たな〈物語〉を立ち昇らせる。鮎川信夫賞受賞から2年、渾身の新詩集。装幀=中島浩

本体3200円+税
B5判変型上製・110頁
ISBN978-4-7837-3655-4
2019年3月刊

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田口麻奈『〈空白〉の根底――鮎川信夫と日本戦後詩』


最新の鮎川信夫研究


鮎川は詩にとって最も本質的な要素を、それが「存在しなかったかもしれない」言葉であるという点に認めようとしている。「存在したかもしれない」と考えることで「空白」を言語的に存在させようとした鮎川にとって、「存在しなかったかもしれない」言葉を創生するという行為のうちにこそ、死者でなく生者と経験を共有するための方途が見出されていただろう。
(「「死んだ男」論」)


戦後現代詩の始まりの光景を大胆に更新する本格的鮎川信夫研究。最新資料をもとに、戦後の詩と詩的磁場の批評的達成を現代に問い直す。全集未収録詩篇をはじめ、新発見の書簡など貴重資料を収載。

本体4500円+税
四六判上製・554頁
ISBN978-4-7837-3819-0
2019年2月刊

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