詩の本の思潮社

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平岡敏夫『塩飽から遠く離れて』


また還る日は


戦後八十年、塩飽の浜辺の墓原に眠っていたのでありました。
同時に王頭山頂の上の遥か上の蒼空を漂っていたのでありました。
塩飽から無限に遠く離れて。
(「塩飽から遠く離れて」)

〈無名の父・母・姉・弟・妹らを塩飽というトポスのなかで記しておきたい〉という詩人の切なる想いによって、遥かな歴史を抱き時代の荒波をおおらかに漕ぎわたった塩飽人の姿が鮮やかに記される、新詩集。カバー写真=新井豊美

本体2200円+税
A5判変型並製・96頁
ISBN978-4-7837-3557-1
2017年1月刊

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『北川透 現代詩論集成2――戦後詩論 変容する多面体』


レトリックという思想の実り


「たとえば谷川雁や黒田喜夫に対して北川透がどのような批判を向けたかの論理は、私たちに深く受け止められねばならない。この趨勢に向けられた北川透の問いと答えは、それが根底的である度合いに応じて、今も開かれたままである。そしてその開かれ方は、世界がこの問題を解決しなければ決して「現在」を超えることができない、という問題と、同一の場所を指し示している」(瀬尾育生・月報より)
「論争にせよ、詩作品にせよ、より大きくいえば現代という時代にせよ、北川が相撲をとる相手は常に生身だ。生身の相手に張り手をしてパーンと鈍い音がするときだけが北川は自身の「自立」を証すのである。……その時代その時代「いま、ここ」で倒されまいと北川の生身の体が相手にぶつかっていく音は、たとえば二〇一四年にも臨場感をもって私たちの鼓膜に響く」(佐藤雄一・月報より)

敗戦後の若い詩人たちは、当時の日本の思想・文学に強い支配力をもったマルクス主義の理念や伝統的な抒情詩の自然感性に、さまざまな位相で対抗的に想像力を形成する。それが画一的な言語とスタイルを拒む、多様で多彩な詩的世界を生みだした。なぜ、戦後詩なのか――。九つの論考から成る力篇「谷川雁論」をはじめ、秋山清、吉岡実、中村稔、岡井隆、村上一郎、辻井喬、黒田喜夫らを論じた詩人論と、「列島」批判の論考を収録。月報=瀬尾育生、佐藤雄一、菅谷規矩雄、装幀=間村俊一

本体5000円+税
四六判上製・552頁
ISBN978-4-7837-2372-1
2016年12月刊

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