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第1回鮎川信夫賞決定

2010年03月05日

第1回鮎川信夫賞は、2月28日、日本出版クラブ会館で選考会が行われ、
〈詩集部門〉谷川俊太郎氏『トロムソコラージュ』(新潮社)
〈詩論集部門〉稲川方人、瀬尾育生氏『詩的間伐――対話2002-2009』(思潮社)
〈特別賞〉『粟津則雄著作集』全7巻(思潮社)
に決定した。
「受賞のことば」「選評」など、詳細は「現代詩手帖」2010年4月号に掲載。
賞の贈呈式は、2010年4月23日(金)午後6時30分より、ホテルグランドヒル市ヶ谷にて。
第2回鮎川信夫賞は来年2月、第1回に引き続き〈1月1日から12月31日までに刊行された詩集、及び詩論集〉を対象に選考される。

●第1回鮎川信夫賞・概要
*選考委員=辻井喬、岡井隆、北川透、吉増剛造
*部門=〈詩集部門〉〈詩論集部門〉
*賞金=各50万円
*主催=鮎川信夫現代詩顕彰会
*賞の対象となったのは、2009年1月1日から同年12月31日までに刊行された詩集、及び詩論集(ただし翻訳、再版、選集、外国語によるものは除く)のうち、公募と推薦のあった145冊。選考委員4氏出席の第1次選考をへて、下記〈詩集部門〉7冊、〈詩論集部門〉5冊が最終候補作品となった。
〈詩集部門〉
・牟礼慶子『夢の庭へ』
・谷川俊太郎『トロムソコラージュ』
・高橋睦郎『永遠まで』
・荒川洋治『実視連星』
・守中高明『系族』
・中尾太一『御世の戦示の木の下で』
・岸田将幸『〈孤絶-角〉』
〈詩論集部門〉
・神山睦美『二十一世紀の戦争』
・吉田文憲『顕れる詩――言葉は他界に触れている』
・季村敏夫『山上の蜘蛛――神戸モダニズムと海港都市ノート』
・稲川方人・瀬尾育生『詩的間伐――対話2002‐2009』
・野村喜和夫『詩のガイアをもとめて』

●受賞者略歴
〈詩集部門〉
谷川俊太郎 たにかわ・しゅんたろう 1931年12月15日生
1952年、第1詩集『二十億光年の孤独』刊行、従来にない清新な感受性を呈示する。以来つねに詩の第一線に立ち続け、主な詩集に『旅』、『定義』、『日々の地図』(読売文学賞)、『世間知ラズ』(萩原朔太郎賞)、『シャガールと木の葉』(毎日文学賞)、『私』(詩歌文学館賞)など。他に絵本や翻訳『マザーグースのうた』など、類例のない広がりをもって詩的領土を拡大。

〈詩論集部門〉
稲川方人 いながわ・まさと 1949年6月1日生
1976年、第1詩集『償われた者の伝記のために』刊行。以後、詩集に『封印』、『われらを生かしめる者はどこか』、『2000光年のコノテーション』(現代詩花椿賞)、『聖-歌章』(高見順賞)など。切実な問いを詩行に刻み、1冊の詩集を類のない強度で1篇の長篇詩として屹立させる。評論集『彼方へのサボタージュ』など。映画評論はもとより映画製作も手がける。
瀬尾育生 せお・いくお 1948年11月16日生
1976年、第1詩集『水銀灯群落』刊行。以後、詩集に『ハイリリー・ハイロー』、『DEEP PURPLE』(高見順賞)、『モルシュ』、『アンユナイテッド・ネイションズ』など。「湾岸戦争詩論争」以後、詩と詩論の両面で最も鋭敏な批評意識を現わす。評論集『鮎川信夫論』、『文字所有者たち』、『われわれ自身である寓意』、『戦争詩論1910-1945』(やまなし文学賞)など。

〈特別賞〉
粟津則雄 あわづ・のりお 1927年8月15日生
早くからランボーと小林秀雄に私淑。1970年、『詩の空間』『詩人たち』で第8回歴程賞、82年、『正岡子規』で第14回亀井勝一郎賞受賞。ほか『ランボオ』3部作、『小林秀雄論』、『オディロン・ルドン』、『ゴッホ紀行』など文学、美術、音楽の多角的評論活動を展開する。93年、紫綬褒章受章。現在、法政大学名誉教授。草野心平記念文学館館長。