日和聡子『其処』
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かえり、めぐりて
かえり、めぐりて
あなたを見つめる目の奥に虚構がはじまり
翳った茶畑に降り出した雨に涙がまじる
地に沁みて天に昇りやがて盆にかえる水
切った髪はもとの髪に継ぐことはできない
(「噴水広場」)
いつわりのない無二の詩情を深めてきた書き手が、葛藤のなかで見据える世のめぐり。空気と水と土と火と――。萩原朔太郎賞受賞『砂文』から9年にわたる試行を束ねる、待望の新詩集。装幀=清岡秀哉
〇同じ著者によって
『砂文』
現代詩文庫『日和聡子詩集』
2640円(税込)
A5判上製・112頁
ISBN978-4-7837-4596-9
2024年9月刊