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渡辺武信『移動祝祭日――『凶区』へ、そして『凶区』から』

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60年代の詩的青春


“50年代詩人”は〈まだ見るべきものがたくさんあった〉ゆえに感官の全面的肯定から出発したのだが、私たちはそれらに憧れを抱きつつ詩を書きはじめたものの、60年6月と遭遇することで何かを〈見てしまった〉のだ。これは荒地の詩人たちが〈見てしまった〉ものとは違うが、世代的・宿命的なものである点で共通性もあろう。それは “詩の不可能性”でもあり、左翼神話の崩壊でもあり、戦後民主主義の限界の自覚でもあるという意味で政治性と文学性が絡み合った何かである。(「第9章 60年6月とは何であったか」)


1960年から68年へ、反安保闘争から大学闘争へと続く時代、文化の尖端を担ったのは詩誌『凶区』だった。天沢退二郎、菅谷規矩雄、鈴木志郎康らが切り拓く60年代詩というラディカル。当事者である著者が、前史の「暴走」「×(バッテン)」をふくめ、逸楽と苦痛の季節を生きる若い詩人たちを描く。豊富な資料と共に可能性を問い直す画期的労作!

本体3,800円+税
A5判上製・382頁
ISBN978-4-7837-1658-7
2010年11月刊

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