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粟津則雄『西行覚書』


俗と聖と美のドラマ


 惜しむとて惜しまれぬべきこの世かは身を捨ててこそ身をも助けめ

かくしてここには、自己からの離脱と自己への集中との、時とともにその度合を増す、鋭く緊迫した、激しい精神の劇が見られるのである。
(「12」)


勇士と数寄者の血脈、道心への傾きと二十三歳での出家。複雑にうつろう時代に生き、矛盾や相反もなまなましく共存させた歌人・西行の全身的な「我が心」への問いと、生き生きとした現実感が融け合った数々の名歌から、若き日の自己形成劇を凝視する。幼年から崇徳院没後の讃岐の旅まで、畢生の長編評論。装幀=菊地信義

本体2800円+税
四六判上製・304頁
ISBN978-4-7837-3801-5
2016年2月刊

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