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現代詩文庫『田中郁子詩集』


不可視の詩の領域へ


ススキが銀色になびく季節
わたしはちちやははから生まれたのでした
けれども ちちやはははわたしから生まれたのでした
やはりススキが銀色にひかる季節でした
高い山のすそ野でした
(「ナナカマドの歌」)


「田中郁子の詩は語り難い。たたずまいは地味なのに、底のほうに渋く華やかな弾力がある。岡山の自然がこの人の言葉を礎となって支えているが、そこから流れ湧いてくるのは霧のような哀しみである」(小池昌代)。父祖から継いだ山間の地から、生と死が白く輝く場所へ架橋する。代表詩集『紫紺のまつり』『ナナカマドの歌』『雪物語』全篇収録。戦後の苦難から辿りついた人間と自然の涯にある聖性。解説=粕谷栄市、新井豊美、岡島弘子、水島英己、新延拳

本体1,300円+税
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0997-8
2015年10月刊

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