阿部嘉昭『静思集』

阿部嘉昭新詩集、3冊同時刊行!
阿部嘉昭新詩集、3冊同時刊行!
おんなのはだかへちかづく夢のかなわないときは、おとこのはだかに代えてでもと、ひとり人乃湯へゆく。もうもうたる湯けむりのなか、だれかれかまわぬ複数がうごめいて、髪をあらったり腕をあらったりしている。からだのほとんどはおとこめいた突兀をえがかない。しゃがむほおずきいろだけが処刑まえのようで、あれらはしゃがむうつくしさの、むしろおんなでもあるのではないか。そういう列なりからとりわけくぐもる穴やかなしい圧縮をみつけ、そのありさまをこわれたわたしとこころすれば、湯にいてとけかかっているだけ、みずからがすこしおんなとなれる。
(「人乃湯」)
詩のボディに触れること、
それは性と対峙する官能的瞬間である。
詩の肉感を精緻に描写していく魅惑的断章集。
3冊同時刊行第2弾!
本体2000円+税
オンデマンド版(ペーパーバック)・166頁
ISBN978-4-7837-3460-4
2014年10月刊