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編集部から

田中庸介「嗜虐的お化け屋敷の様相」(現代詩手帖7月号コラボレーション)

2014年07月01日

現代詩手帖2014年7月号、
特集「詩からアートへ/アートから詩へ」において、
大反響を呼んでおります、
横山裕一さんによるコラボレーション作品(90~93頁)の
もとになった田中庸介さんの作品を以下にアップします!

***
【嗜虐的お化け屋敷の様相】

さて廊下があって、奥までゆくと乳白色のドアの前は行き止まりであった。引
き返そうとすると、足元の板がくずれ、一回転して私は穴の中に入りこんだ。
回転式ゴミ箱のフタのように上にはまた板がかかり、私は穴の中に取り残され
ていた。気がつくとそれはジュラルミン製のすべり台であった。小さい、そう
してその表面は磨き立てられて止まろうにも止まれないのだった、突然ガタン
と出たところは地下鉄道のプラットホームであった。そこには岩がムキ出しに
なって、赤い白熱灯がぼんやりと二つだけともっていた。「発車」ホッパー車
に積み込まれた私たちはうじゃうじゃと鼻だけをうごめかせていた。

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田中庸介『山が見える日に、』(1999年、思潮社)より

この詩に横山さんがどんなイメージを与えたのか、
ぜひ誌面をご確認ください!