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編集部から

現代詩文庫『続続・天沢退二郎詩集』新装重版出来!

2023年04月28日

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譚詩、さらなる彷徨


まったく 猫や女やツルナシインゲンの
気持はいくらかわかる気がするが
鳥どもの考えてることはわからん
ネギの髄なら吸わぶりゃわかる
鳥の足の髄はなめても吐くだけさ
鳥なんて「鳥」という字の
かたちしてるだけじゃないか
(「鳥について」)


なおも止むことのない夢魔の探究。高見順賞受賞『〈地獄〉にて』全篇をはじめ、『乙姫様』から『ノマディスム』まで、1980年代の5冊の詩集を収める。
解説=守中高明、斎藤文一、高橋睦郎

1650円(税込)
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0880-3
1993年10月第1刷 2023年4月第2刷

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現代詩文庫『続・天沢退二郎詩集』新装重版出来!

2023年04月28日

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物語とはなにか


いつか必ずあらゆる地しばり入墨あらゆる水しばりを
かいくぐって夜がたちのぼり天を閉ざすだろう
そのときぼくはこのビニール革を剝がし
赤の濃い方をおもてにくるくるまとめ
その中へすっぽり入りこんで
カプセルもろとも歩き出すだろう
橋をわたって 遠くへ 次なる遠方へ
(「早世譚」)


水をながれる水のほうへ。『les invisibles 目に見えぬものたち』全篇ほか、擬‐夢記述を模索し、夥しい「譚」へと展開した1970年代の軌跡を一望する。
解説=今井裕康、平出隆

1650円(税込)
四六判並製・160頁
ISBN978-4-7837-0879-7
1993年10月第1刷 2023年4月第2刷

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現代詩文庫『天沢退二郎詩集』16刷、新装重版出来!

2023年04月28日

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六〇年代詩の光芒


この町角の割れめのサックスはにせものだ
おれの怒りはキラキラ飛び散った
おれの首にまたがる馬蹄形の輝く女
何のため骨の凹みにそって手をさし入れ
何のために手くびの
環状のめざめをねがうのか
(「ソドム」)


〈またぎ越せ無能な河は〉――1960年代、大学闘争の高まりのなかで、詩的ラディカリズムを鋭く状況と軋ませる天沢退二郎。時代を画した作品群を収録する。
解説=北川透、菅谷規矩雄

1650円(税込)
四六判並製・144頁
ISBN978-4-7837-0710-3
1968年7月第1刷 2023年4月第16刷

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